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Interview/株式会社UACJ

フォークリフトの死角を見える化。ヒヤリハット3割減と作業効率向上を実現

株式会社UACJ

Interview/株式会社UACJ

フォークリフトの死角を見える化。ヒヤリハット3割減と作業効率向上を実現

株式会社UACJ

掲載:2025 / 12

インタビューリード画像

世界トップクラスの生産能力を誇るアルミニウム総合メーカー 株式会社UACJでは、アルミ鍛造品・鋳物製品の製造現場で、同社として初めて、映像とAIを活用した安全対策『フォクレコ』を導入しています。『フォクレコ』は、フォークリフト稼働現場における、「安全性と生産性の両立」という課題解決に寄与しており、安全確保と効率化の双方で大きな成果が生まれています。今回は、株式会社UACJ 航空宇宙・防衛材事業本部 鋳鍛製作所 製造部工程管理室の比嘉様、仕上職場の諏訪様、柴様に安全DXソリューション『フォクレコ』導入の背景やその成果について伺いました。

現場のヒヤリハット削減における課題

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現場スタッフの意識づけや教育だけでは、安全管理に限界

『フォクレコ』を導入しようと考えたきっかけは?

諏訪さん写真
製造部鍛造工場 仕上職場 職場長 兼 第二仕上ライン作業主任 諏訪氏
諏訪:鋳鍛製作所では、アルミ製品の製造ラインでフォークリフトを日常的に使用し、製品や材料の運搬作業を行っています。現場では毎月「安全の日」を設け、写真やイラストによる教育や危険予知活動、ヒヤリハット共有を継続して行っており、現場にいる一人ひとりが安全意識を高く持つ文化は根づいていました。それでも、フォークリフト関連のヒヤリハットは一定数発生していたのが現状でした。
現場から上がる報告を分析すると、特に深刻だったのは運転者による後方の見落としです。運転者は荷物を傷つけないよう前方への注意が優先されがちで、後方確認が疎かになり、周囲の作業者への接触リスクが高まるケースが見られました。また、周囲の作業者自身も、作業に集中していてフォークリフトの接近に気づくのが遅れる場面がありました。

比嘉さん写真
製造部 工程管理室 比嘉氏
比嘉:こうした状況から、教育・注意喚起だけでは安全管理に限界があるのではないかという声が上がったことが、検討のきっかけです。安全指導直後は誰もが高い意識を持って取り組むのですが、実作業になると目の前の業務に追われて注意が分散してしまい、必ずしも理想どおりの行動ができない場面が生じます。
このような状況への改善策を模索する中で、ザクティの安全DXソリューション『フォクレコ』に出会いました。一般的なドラレコやアラート機器も検討しましたが、いずれも「事後確認しかできない」「危険把握に時間がかかる」といった課題がありました。映像で状況を可視化し、リアルタイムにアラートで危険を即座に知らせる『フォクレコ』が最適と判断し、導入を決めました。

『フォクレコ』導入後の成果

02

ヒヤリハット報告が月平均 12件から7件に大幅減

導入して得られたメリットは?

諏訪さん写真
諏訪:導入により、運転者はこれまで見落としが発生しやすかったフォークリフト後方を、AI人物検知によるアラート音やモニター表示で確実に把握できるようになりました。導入後2か月間のヒヤリハット分析では、激突を含めたフォークリフト関連事案が導入前半年間の月平均12件から7件へと減少。改善効果が明確な数値として確認できました。安全面でのリスク低減が図られ、安心して作業を任せられる現場環境を構築できたと感じています。

03

導入満足度は100点。作業効率が体感で2倍近くアップ

導入満足度は?

3人の写真
諏訪: 100点です。運転者が見るモニター内の検出枠の色でリフトと人との距離や危険度を直感的に判断できる点は非常に有用です。倉庫内は人と物が近接する場面が多く、検出精度と距離の正確性は安全確保の上で重要です。人と接触すれば重篤な災害につながりかねないため、高精度な本機能は大きな意義があります。


比嘉: 回転灯の光やアラート音により、周囲の作業者が危険に気づける点も非常にありがたいですね。

柴:夜間の作業の際も効果を実感しています。暗い中では、後方を目で確認しても人に気づきにくい場合がありますが、『フォクレコ』があれば見落としを防げます。フォークリフトに乗る立場として、今では『フォクレコ』がついていないフォークリフトに乗るのは不安です。

フォークリフト写真
操縦席モニターでリフト後方の検知状況を確認

比嘉さん写真
検知しているモニターの様子

導入後の変化は?

柴さん写真
製造部鍛造工場 仕上職場 柴氏
柴:安心感が生まれ、運搬作業が格段にスムーズになりました。安全が担保されることで心理的負担が減り、体感では作業効率が2倍近く向上していると感じます。

04

他拠点からもこの取り組みが評価

想定外の効果は?

比嘉さん写真
比嘉:『フォクレコ』による安全改善は、年に1度開催される社内安全報告会で高く評価され、鋳鍛製作所内では最優秀賞、さらに全社報告会でも特別賞を受賞しました。報告会を通じて認知が広がったことで鋳鍛製作所内での導入が進み、現在では所内のほぼ全てのフォークリフトに搭載されています。鋳鍛製作所の安全への取り組みが注目され、他拠点から問い合わせを受けるなど、導入現場の拡がりも実感しています。

安全DX の未来

05

AIの活用で“究極の安全”を目指す

今後、ザクティの安全DXに期待することは?

比嘉さん写真
比嘉:管理者としては、ヒヤリハット発生のレポート・通知に加え、速度超過・急旋回・急発進といったルール違反を自動で検知し、発生回数を管理者に通知する機能があると助かります。それを元に、より具体的な安全対策を進めることができれば、管理者の負担を軽減しつつ、現場で働く一人一人の安全意識を持続的に高めていけると期待しています。また、エンジン停止時に「あなたの運転は何点です」と評価される仕組みがあると、運転手自身が改善を考えるきっかけになりますし、管理者の負担も軽減できると考えています。

柴:人手不足の中でも安全な現場を持続できるよう、AIが安全意識向上を後押しできるようになると良いですね。

安全DXを通じて活用しながら目指す姿は?

比嘉:最終的には、人が介在しない“究極の安全”を実現したいと考えています。現在は人の手で行っている作業を、安全にロボットが担う自動化へ段階的に繋げられるよう、安全DX技術の進化に期待しています。
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株式会社UACJ鋳鍛製作所(栃木県)
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インタビューにご協力いただきました社員の方々

株式会社UACJの取り組みは、フォークリフト稼働現場が抱える「安全性と生産性をいかに両立させるか」という製造業共通の課題に対し、具体的な解決の方向性を示しています。映像を活用した安全DXにより死角リスクを可視化し、さらに運転行動の評価やルール遵守を支援するAIの活用も視野に入れることで、安全確保と作業効率向上を同時に実現できる環境づくりが進んでいます。UACJの挑戦は、現場と管理者両方の負担を軽減しながら、より強固で持続可能な製造現場づくりへと確実に歩みを進めています。


※本記事における記載内容(企業情報・所属・インタビュー等)は、取材・編集時点(2025年12月)の情報をもとに構成されています。最新の情報とは異なる場合がございます。

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