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Interview/つくばエクスプレス警備隊

トラブル事案を映像で迅速に確認。録画する安心感で警備員の不安も軽減

ALSOK茨城株式会社

東葉警備保障株式会社

Interview/つくばエクスプレス警備隊

トラブル事案を映像で迅速に確認。録画する安心感で警備員の不安も軽減

ALSOK茨城株式会社

東葉警備保障株式会社

掲載:2025 / 8

インタビューリード画像

首都圏新都市鉄道の鉄道路線 つくばエクスプレスをはじめ様々な施設で警備を行うALSOK茨城株式会社・東葉警備保障株式会社では、乗客とのトラブル対応や保安上の観点からウェアラブルカメラを使った「現場映像のサーバ共有」を実施されています。カメラで警備員目線の映像を記録することで関係者間の状況把握がスムーズになり、トラブル発生時、事実確認にかかる時間と労力を大幅に削減。さらに警備員の働きやすさや安心感の醸成にもつながっているといいます。昨今、重大な社会問題として注目されるカスタマーハラスメント対策としても効果がある活用事例についてALSOK茨城株式会社営業部 田辺様、東葉警備保障株式会社 柏支店長 大塚様、業務運営課 赤羽様に伺いました。

トラブル事案の情報共有連携に課題

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トラブルが集中する繁忙期は、警備員の負担が激増

DXを導入しようと考えたきっかけは?

ALSOK茨城 田辺氏(中央) 東葉警備保障 大塚氏(右) 東葉警備保障 赤羽氏(左)

田辺:我々は首都圏新都市鉄道の鉄道路線 つくばエクスプレスの鉄道警備と施設(駅構内やホーム)警備を担っています。駅で発生するトラブルやアクシデントの多くは、年末年始・歓送迎会シーズン・忘新年会シーズンなどに集中します。トラブルごとに1件1件事実確認を行うため、件数が多いほど対応が追い付かなくなり、限られたスタッフで「繁忙期をいかに乗り切るか」は我々にとっても大きな課題でした。その解決策として、「現場映像のサーバ共有」システムを導入しました。

従来は、トラブル発生時、紙の報告書と口頭での情報共有を行っていたため、つくばエクスプレスへの第一報が遅れ、事案の確認が後手になることも……。発生時の詳しい状況も当事者にしかわからないため、深夜警備を終えた警備員からヒアリングを行うこともあり、心身への負担は相当なものでした。

DX導入後の成果

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発生当時の状況把握にかかる時間を大幅に削減

現場映像をサーバ共有することにより得られたメリットは?

田辺:映像で事案の詳細を確認できるのは、非常に大きなメリットですね。従来、トラブル発生時には、つくばエクスプレスから警備室に確認が入り、必要であれば当事者である警備員にヒアリングし、事実確認をした上で改めてつくばエクスプレスへ報告し……といった何層ものフローを経ていました。今では警備員が装着しているウェアラブルカメラの映像を通して状況を正しく把握できるようになり、フローがスリム化したことで工数が50%以上削減できたと思います。

大塚:以前は深夜勤務を終えて休んでいる警備員を起こしてまで状況確認をしなければいけない場面も多くありましたが、今ではそういったこともほとんどなくなりました。警備員も次の勤務に向けて休息をとることができ、本来の業務である警備に集中できるようになったと感じています。

田辺:乗客からの暴力行為や、“言った・言わない”のトラブルでも、映像というエビデンスがあればご納得いただけます。映像という証拠を残すことは、カスタマーハラスメント対策としても役立っていますね。

ザクティのソリューション(ウェアラブルカメラ×映像のサーバ共有)を選んだ理由は?

田辺:警備員の胸部にウェアラブルカメラを装着して、つくばエクスプレスも含めた関係者間でその映像をサーバ共有しています。検討している中で、他社のカメラも使用してみましたが、胸部にカメラを付けると、重さでカメラが下を向いてしまい想定していた箇所が撮影できていないことがありました。ザクティのカメラの場合は、警備における動きの中でも、ブレ補正と水平維持機能で常に安定した映像が撮影できます。安定した映像を共有できることがザクティを選んだ理由の1つです。また、撮影だけでなくサーバ共有も、スマホから簡単にアップロードできることで、警備員への作業負担も少なく運用できています。

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サーバ共有された映像を確認する様子(ALSOK茨城 田辺氏)
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ウェアラブルカメラを装着して警備する様子(東葉警備保障 岡本氏)

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警備員が安心して働きやすい環境づくりにも寄与

警備業界での人手不足における課題は?

赤羽:警備の仕事は肉体労働で大変な仕事です。それに加えて、不測の事態への対応やカスタマーハラスメントなど精神的な負担を退職理由として挙げる人も少なくありません。カスタマーハラスメントを受けた警備員に対して、会社からのバックアップや適切なケアがないと、人材は定着しないと考えています。

大塚:大切な従業員を守るためにも、映像は効果があると感じています。安心して長く働き続けてもらう上でも、映像で「従業員を守る」ことを重要視していきたいですね。

人材定着の手応えは?

田辺:現場映像のサーバ共有のようなDXを導入することで、警備そのものの価値を上げられていると思います。導入には当然コストがかかりますが、コスト以上の警備の付加価値向上が見込めると考えています。DXを取り入れた警備は、警備業界全体で見ても、進んだ取り組みです。こうした先進的な取り組みが警備員のモチベーションアップにもつながり、人材定着にもつながっていくと期待しています。

若手育成への映像活用は?

大塚:様々な事案や想定していなかったトラブルが当たり前に起きるのが警備の現場です。施設警備隊の経験値は、そうした日々の警備の中で蓄積されていきます。だからこそ、今後は映像を人材育成に活用していくことも検討しています。研修で反応がいいのは、やはり実際に起こったシーンの画像や映像です。印象にも残りやすく、学びにもつながる“ナマの映像”をどう研修で活用していくか、今後の課題でもあります。
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「価値ある警備」を通してCX*向上にも貢献

今後、導入を期待している映像DXは?

田辺:AIによる画像分析が実現できれば、ぜひ導入したいですね。警備においては「いつもとちがう微妙な差異」にいかに気付けるかがポイントになります。人の目では判別が難しかった、ごくわずかな差異をAIが検知できるようになり、我々の業務をサポートしてくれる機能に期待しています。
また、今は警備中に撮影した映像をアップロードして共有していますが、いずれは24時間、常時リアルタイム中継もしていきたいです。

事案が発生したその瞬間に誰もが状況を把握できれば、対応もより一層スムーズになるんじゃないでしょうか。

今後、DXで実現したいことは?

田辺:警備において人材はなくてはならないもので、何よりも重要です。工場など大規模施設の警備では一部ドローンを活用することもありますが、飛行条件に制限が多く、人による警備をドローンに完全に置き換えるのは難しい状況です。
そういった中で、我々はDXを「警備の価値を高めてくれるもの」だと捉えています。映像DXは警備の価値になり、ひいてはつくばエクスプレスなど施設の価値になり、CX*向上にもつながっていく。DXを活用して、“価値の高い警備”を提供していきたいです。

*CX:カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)

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つくばエクスプレス(首都圏新都市鉄道株式会社)にも伺いました

警備員視点の映像が確認できることへのメリットは?

首都圏新都市鉄道 運輸部 旅客課
主任 森氏(左) 主任 猪瀬氏(右)
従来は警備員の報告を待って状況を判断していましたが、WEBアプリで現場の映像や音声を直接確認できるため、正確かつ迅速な状況把握が可能になりました。駅構内やホームに設置している監視カメラは広範囲を映せますが、どうしても死角が生まれてしまいます。警備員が装着したウェアラブルカメラでは、警備員目線そのままを映せるため、状況をより正確に把握することができています。


将来的なDXの拡がりに期待することは?

警備業務だけでなく、鉄道業務全体でDXを活用することで、人手不足対策や安全管理、お客様対応などが効率化できると考えています。現場負担の軽減につながることを期待しています。
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撮影協力:つくばエクスプレス 守谷駅
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https://www.mir.co.jp/

警備業界での本DX導入は、お客様とのトラブルに迅速かつ正確に対応できるようになっただけでなく、警備員が安心できる、かつ意欲をもって働ける環境づくりにも効果をもたらしました。映像というエビデンスを残すことは、カスタマーハラスメント対策の面でも効果が高く、警備はもちろん接客を伴う業界での活用も期待されています。

人材なくしては成立しない業界において、DXは付加価値を高めるものとして導入の拡がりをみせています。今回の取り組みは、「映像×AI」の力で安全面やリスク対策をより強靭なものとし、お客様も従業員も共に守られる未来へとつながっていくことでしょう。


※本記事における記載内容(企業情報・所属・インタビュー等)は、取材・編集時点(2025年8月)の情報をもとに構成されています。最新の情報とは異なる場合がございます。

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